診療
Treatment contents/results
診療内容・実績
自覚症状としては、身体のむくみの他に、坂道や階段を上るとき、重い荷物をもったり布団の上げ下ろしをしたりするとき、あるいは夜寝るときに「息苦しい」「息づかいがいつもより激しくなる」などがあります。このような症状は、心不全状態になっているサインであり、放置すると症状が悪化して呼吸困難に至る事もありますので早めの診断・治療が必要です。足のむくみや息苦しさなどで、かかりつけの診療所や病院から精密検査や専門的治療が必要と言われました場合は、当科に受診してください。
レントゲン検査からは、心拡大や胸水貯留など心不全の診断に必要な情報が得られます。さらに、心臓超音波検査では心臓の収縮能および拡張能、弁膜症の有無、心内圧の推定など非侵襲的に多くの情報が得られるため、心不全の診断にとても重要な検査となっています。
また、心不全の原因には心臓の筋肉自体が弱ってしまう心筋症、冠動脈疾患、弁膜症、不整脈など様々ありますので診断と適切な治療のために入院して心臓カテーテル検査が必要になる事もあります。
心不全の治療は、急性期と慢性期で異なります。急性心不全では、呼吸困難などの症状緩和を図るとともに、臓器のうっ血を解除することで、救命することが最優先となります。通常、うっ血を解除するために利尿薬や血管拡張薬が用いられ、心機能が悪い場合には心収縮力を改善する強心薬が用いられることもあります。さらに、劇症型心筋炎などの重症心不全において、これらの薬剤で対処しきれない場合には、人工呼吸器や人工心肺装置などの機械的サポートを用いて、酸素化の改善やショックからの離脱を目指しますことになります。当院は通常の人工心肺装置に加え、超小型のポンプを内蔵したカテーテル装置であるImpellaも使用可能な施設に認定されています。
心機能が低下した心不全患者においては下記の4剤が長期予後改善薬として広く知られており、病状に合わせてこれらの薬剤の導入および増量を行います。
交感神経の興奮を抑えることで、心臓の酸素消費量を減らし、心臓を休ませます。
● ACE阻害薬/ARB、ARNI血管収縮因子であるアンジオテンシンの作用を阻害するACE阻害薬やARBを用いることで、心臓が血液を送り出しやすくします。
またその作用に追加して、心保護効果のあるナトリウム利尿ペプチドを増やすARNIも用いられます。
糖尿病治療薬の一つであり、尿からブドウ糖と一緒にナトリウムも排泄することで、
尿量を増加させ、糖尿病の有無に関わらず心不全の予後改善効果が認められています。
体内の塩分貯留や慢性炎症に関わるホルモンであるアルドステロンを阻害することで、心不全の予後を改善します。
心不全の原因の一つである心筋症は、心筋自体の病気である原発性心筋症と、他の全身疾患や薬剤などが原因でおこる二次性心筋症に分けられます。原発性心筋症には拡張型心筋症、肥大型心筋症などがあり、二次性心筋症には心アミロイドーシスや薬剤性心筋症などが含まれます。
<原発性心筋症>
心臓の筋肉の収縮する能力が低下し、左心室が拡張してしまう病気です。
子供からお年寄りまで幅広い年齢層で発症し、一部で遺伝性も認められます。
心肥大をおこす原因となる高血圧や弁膜症などの病気がないにもかかわらず、左室心筋の異常な肥大がおこる病気です。
家族性の発症が約半数にみられます。
<二次性心筋症>
アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれる異常な蛋白質がさまざまな臓器に沈着し障害を引き起こす疾患です。
そのうち、心臓にアミロイドが沈着し、心筋が肥大し、心機能異常や不整脈などをきたすものが心アミロイドーシスと呼ばれます。
薬剤によって引き起こされる心筋障害により心筋症を呈するもので、近年では抗がん剤による心筋症が多くなっています。
これらの心筋症の鑑別や診断は心臓の組織評価が必要となることが多く当院でも必要に応じて入院の上心筋生検を行っています。
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